ブランディングとマーケティングは密接に関連しています。強力なブランド力がマーケティング活動を支え、一方で効果的なマーケティングがブランドの認知度と価値を高めます。
この記事では、ブランディングとマーケティングの違いや関係性をわかりやすく解説。PRやプロモーションとの違いやブランディングの効果もご紹介します。
競争の激しい市場で、自社の差別化を目指す広報担当者やマーケティングマネージャーの方は、ぜひご参考にしてください。
ブランディングとは「認知度向上やイメージ確立を目指す戦略的プロセス」
ブランディングとは「企業が製品・サービスを通じて提案するブランド独自の価値と、消費者が抱く心象を一致させる活動」を意味します*。
簡単に言うと、ブランディングは企業や製品の認知度向上とイメージ確立を目指す戦略的プロセス。
ブランドのビジョンやミッション、ロゴ、カラー、デザインを一貫して打ち出し顧客との信頼関係を築くことで、「このブランドなら間違いない」「このブランドの商品を買いたい!」といった信頼感や愛着を強化します。
結果的に、顧客のロイヤルティを育み、長期的な企業成長に貢献するのです。
*一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会「ブランディング と ブランド戦略」https://www.brand-mgr.org/knowledge/#strategy
ブランディングとマーケティングの違い:戦略と施策の明確化
ブランディングとマーケティングは異なる目的を持つ戦略です。ここでは、以下の3点を解説します。
- ブランディングとマーケティングの違い
- ブランディングと広報PR・プロモーションの違い
- ブランド戦略とマーケティング戦略の違い
「コトラーの4つの競争地位戦略」についてもご紹介しますので、ご覧ください。
ブランディングとマーケティングとの違い
ブランディングは「商品や企業の価値確立」を目的とし、ブランドの価値と認知度を高める長期的な戦略です。
一方、マーケティングは「戦略的な商品展開」を通じて顧客のニーズに応える短期的な施策。
簡単に言うと、ブランディングという土台の上にマーケティング施策が積み重なるイメージです。
違いを理解し、適切に戦略や施策を検討しないと、社内リソースを非効率に消耗する可能性も。それぞれの目的をしっかり把握することが重要です。
ブランディングと広報PR・プロモーションとの違い
広報PRは企業とステークホルダーとの関係構築を目指してメディアを通じて企業の情報やメッセージを発信し、企業イメージや信頼性を高める活動です。
一方、プロモーションは短期的な売上促進を目的とし、特定の製品やサービスを対象にしたキャンペーンやイベントのこと。
効果的に両者を活用することで、自社の認知度や売上向上、ひいては経営の安定化につながります。
詳しくは「【1分で理解】PRとは?プロモーションとの違いや戦略的な3つの手法を解説!」もご覧ください。
ブランド戦略とマーケティング戦略の違い
ブランド戦略は、企業や製品のブランド価値を長期的に構築し、顧客の心に強い印象を残すことが目的です。
ミッション、ビジョン、アイデンティティ、メッセージの確立が含まれます。
一方、マーケティング戦略は、市場調査をもとにターゲット市場を設定し、4P*を活用して売上や利益を最大化することが目的。
要は、ブランド戦略は「なぜその価値を提供するのか」、マーケティング戦略は「どのように市場に効果的に売り込むか」に焦点を当てます。
*製品、価格、流通、プロモーションのこと。
ブランド戦略フレームワーク「コトラーの4つの競争地位戦略」とは
フィリップ・コトラーの「4つの競争地位戦略」は、企業が経営資源に応じて競争優位を確立するためのフレームワークです。
量的経営資源 | |||
多い | 少ない | ||
質的経営資源 | 多い | リーダー | ニッチャー |
少ない | チャレンジャー | フォロワー |
「リーダー」は豊富な資源でトップシェアを維持し、「チャレンジャー」は未開拓領域で市場占有率を向上させます。
「ニッチャー」は特定分野での技術優位性を活かし、「フォロワー」は競合の戦略を模倣してコスト削減に努めます。
これらの戦略を効果的に活用することで、企業は独自の市場ポジションを確立できるのです。
ブランディングとマーケティングの関係性
ブランディングとマーケティングは密接に関連し、各々に役割や効果があります。ここでは、以下2つを解説します。
- ブランディング戦略におけるマーケティングの重要性
- ブランディングとマーケティング、施策はどっちが先?
ブランディング戦略におけるマーケティングの重要性
ブランディング戦略におけるマーケティングの重要性は以下の5点に集約できます。
1. ブランド認知度の向上
ターゲット市場にブランドの存在をアピールし、認知度を高める
2. ブランドメッセージの浸透
ブランドのメッセージや価値を伝え、顧客にブランドの本質を理解へつなげる
3. ターゲット市場の明確化
分析を基にブランドがアプローチすべき顧客層を明確にし、戦略の効果を高める
4. ブランドへの信頼感を高める
PRによるブランド体験を通じて信頼性や品質を顧客へ示し、リピーターやファンを獲得する
5. 競争優位性の確立
ブランドの独自価値や特徴を強調し、競合他社との差別化を図る
つまり、ブランディングとマーケティングは相互に補完し合いながらブランドの成功を目指す戦略的な取り組みといえます。
ブランディングとマーケティング、施策はどっちが先?
通常、ブランディング施策を先に実施し、ブランドのアイデンティティや価値、ポジショニングを確立した後にマーケティング活動を行うことが推奨されます。
ブランドの基盤を築き、その基盤を活かして顧客獲得や売上向上を目指すと効果的だからです。
ブランディングとマーケティングを効率的に行うには、PR代行会社に依頼するのもおすすめ。
PR代行会社については「PR代行に広報を業務委託する金額相場は?依頼するメリット・デメリットや委託先を選ぶポイントも解説」にて費用やメリットデメリットを紹介していますので、参考にしてみてください。
ブランディングで得られる主な効果
ブランディングの効果は、主に以下の5つが挙げられます。
- ブランド認知度の向上
- 顧客ロイヤルティの強化
- 価格プレミアムの実現
- 市場での差別化
- 優れた人材を獲得しやすくなる
順に解説します。
ブランド認知度の向上
ブランドが広く認識されると、消費者の記憶に残り、自社商品が選ばれる可能性が高まります。
たとえば、知名度の高いコーヒーブランドは店舗のデザインや顧客体験に一貫性を持たせ、ブランド認知度を向上させました。
ブランド認知度の向上によってリピーターやファンが増え、経営の安定化につながります。
顧客ロイヤルティの強化
顧客ロイヤルティの強化とは、ブランドに対する信頼や愛着を深め、リピート購入や推薦を促進することです。
たとえば、特定のカメラブランドの名を聞いた際に「高品質カメラ」とイメージできるブランドは長年にわたりプロや愛好者からの強い信頼を得ています。
ブランドの一貫性が顧客ロイヤルティを強化し、リピーターを生むのです。
価格プレミアムの実現
ブランド力が高ければ同類商品よりも高い価格設定が可能になり、競争優位性を確保できます。
Appleが良い例でしょう。
強力なブランドイメージとアイデンティティを構築することで、同等の技術を持つ他製品より高価格で販売しても顧客が購入する「価格プレミアム」を実現し、価格競争から脱却できるのです。
市場での差別化
ブランディングによって独自のブランドアイデンティティを確立することで、競合他社と差別化し、市場での独自性を確立できます。
たとえばAppleは、洗練されたデザインと高品質を強調し、他のIT機器メーカーとの差別化に成功しています。
ブランディングによる強力な差別化が市場に浸透した結果といえます。
優れた人材を獲得しやすくなる
強力なブランドを持つ企業は、その信頼性と評判により優れた人材を惹きつけやすくなります。知名度の高い企業に憧れる応募者が増え、応募数が増加するためです。
パーソル総合研究所によると、2030年に644万人の人手不足との予測が出ています。
ブランディングを進めて早期に優秀な人材を確保することが賢明です。
*パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2030/
ブランド戦略の成功例をご紹介
ここからは、ブランディングに長期的に取り組んだ企業の成功例を2つご紹介します。
- ブランディングとマーケティング成功例①商品PRで売上向上
- ブランディングとマーケティング成功例②採用PRで応募者数増加
ブランディングとマーケティング成功例①商品PRで売上向上
あるアパレルブランドは、商品の特徴や魅力を強調して独自のブランドメッセージを打ち出すことでブランドの個性を際立たせ、売上を約5倍に増加させました。
ブランディングを土台にマーケティング戦略を組み合わせ、新聞、テレビ、WEBメディアでアプローチ。さらに、ソーシャルメディアやインフルエンサーを駆使して、認知度向上に成功したのです。
具体的なメディアアプローチについては「テレビに取り上げてほしい!テレビや雑誌で掲載されるまでのプロセスを一挙公開」でご紹介していますのでぜひご一読ください。
ブランディングとマーケティング成功例②採用PRで応募者数増加
ある消費財業界の企業は、WEB動画や出版企画を活用し採用数を大幅に増加。企業のビジョンを前面に出してブランド価値を強化し、優秀な人材を引き付けました。
このようにブランディングは、社外の人員リソースに好影響を及ぼしますが、同時に社内リソースにも寄与します。
社内研修などを通じて社員が企業ビジョンや価値観を理解することによって、一貫したブランドメッセージを外部に発信できたり、社内全体の意識が高まりモチベーション向上や離職率の低下につながったりなどのメリットが期待できるでしょう。
ブランディング✕マーケティングの戦略的アプローチは【PR戦略室】へ!
情報過多な現代では、優れた商品やサービスだけではビジネスの長期的な優位性を確保するのは難しく、「適切なブランディングとマーケティング戦略」が欠かせません。
私たちのPR代行サービスは、情報発信の土台を整え、マーケティング戦略の策定・実行・内製化までトータルでサポートいたします。
認知度の向上や顧客エンゲージメント促進、企業成長のため新しい挑戦を目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。