「地域の魅力をどのように伝え、活性化を図るか?」
これは、地方自治体が共通して抱える課題です。多くの地域が観光や産業振興、移住促進などを目的にPR活動を行う中、思うように成果が得られないケースも少なくありません。
そこで本記事では、地方活性化に効果的なPR戦略を、よく陥りがちな課題や成功のポイント、成功事例とともに解説します。
知ってほしい地域の魅力を引き出すためのヒントを見つけられますので、ぜひお読みください!
自治体広報とは
自治体広報は、地方自治体が地域住民や外部のステークホルダー*に向けて行う情報発信活動です。
日本広報学会では、自治体広報を「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」と定義しています**。
簡単にいうと、地域の取り組みや魅力を伝え、住民の関心を高め、地域発展や改善を促すことが目的。
広報誌やマスメディア、SNSなどを活用し、地域ブランディングを行い、活気あるまちづくりを推進します。
*ステークホルダー:地域住民、顧客、取引先、投資家、従業員、行政機関や金融機関、メディアなどの利害関係者
**日本広報学会「学会の活動 広報概念の定義」https://www.jsccs.jp/concept/
地方自治体が行うべき広報戦略(PR戦略)
地方自治体における広報活動の種類をみていきましょう。PR戦略は、一つの情報伝達手段に限らずいろいろな側面からアプローチすると効果が高まります。
- PR戦略① 『広報誌』で地域の取り組みや魅力を伝える
- PR戦略② 『自治体ホームページ』で最新情報を全国へ伝える
- PR戦略③ 『WEBメディア』で多くの情報をわかりやすく伝える
- PR戦略④ 『PR動画』配信で記憶に残し共感を印象づける
順にみていきましょう。
PR戦略① 『広報誌』で地域の取り組みや魅力を伝える
広報誌は、自治体の取り組みや地域の情報を住民に伝える、紙媒体の情報誌です。
たとえば、以下の内容が掲載されます。
- 自治体の行政施策
- 生活に必要な情報
- 病院・健康に関わる情報
- お金に関わる情報
- 地域のイベント情報
とくに町内の祭りや地元の特産品に関する記事は、対住民、対地域外の双方への観光アプローチが可能です。
広報誌は、視覚的に訴える写真・わかりやすい文章で地域の魅力を伝えるための、有効なツールといえます。
PR戦略② 『自治体ホームページ』で最新情報を全国へ伝える
自治体のホームページは、最新情報や行政サービスを全国に伝えられるメリットがあり、自治体の魅力を広くPRする手段として有効なツールです。インターネット利用率が8割を超える*現代では、地方PR戦略にホームページは欠かせません。
観光情報や移住促進に関するコンテンツを充実させることで、ステークホルダーの興味を引き、観光客や移住者増加、ふるさと納税増加など経済効果も期待できるでしょう。
*総務省「令和6年版情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/index.html
PR戦略③ 『WEBメディア』で多くの情報をわかりやすく伝える
WEBメディアとは、ニュースサイト、SNS、動画配信などさまざまな形式のコンテンツを指します。
13歳~69歳におけるインターネット利用率が9割以上、中でもスマホ利用率は7割以上*というデータからも、WEBメディアの中でもSNSや動画を活用した訴求が有効でしょう。
メリットは、「若い人向け」「ファミリー向け」などターゲット層に合わせた訴求や、広範囲なユーザーにリーチできる点。
情報をリアルタイムかつ迅速に届けるため、時事性の高い地域情報や最新イベントのPR活動に効果的です。
*総務省「令和6年版情報通信白書 第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b120.html#f00310
PR戦略④ 『PR動画』配信で記憶に残し共感を印象づける
動画は、視覚と聴覚を通じて情報を伝えるため、ユーザーの記憶に残りやすく強い印象を与えます。
たとえば、地域の自然の美しさ、特産品の魅力をPR動画で見ると、心に響き「行ってみたい」と興味を持ちますよね。
ほかにも、ストーリーテリングによって観る人を引き込んだり、動画には多くの情報を一度に伝えられる効果があります。
したがって、動画によって地域に共感を持ってもらえると印象に残り、地域の特性を覚えてもらいやすくなるでしょう。
自治体広報の情報発信で陥りがちな課題
ここからは、自治体広報の情報発信で陥りがちな課題について解説します。
- アプローチ方法が限定的
- 一時的なPR戦略にとどまる
- PR成功後の展開も重要
従来のPR活動を振り返りながら、改善ポイント検討のヒントにしてみてください。
アプローチ方法が限定的
予算やPRのノウハウが限られている場合、アプローチ方法は限定的になりがちです。その場合、ターゲット層へのPR効果が十分に得られない可能性も。
改善策として、1つのメディアや戦略に依存せず、多面的なPR展開にしましょう。
Webメディア、SNS、動画プラットフォーム(YouTubeなど)を使い、異なる年齢層に広くアプローチすると有効です。
一時的なPR戦略にとどまる
PRは、長期的な視点が必要です。短期的なPRで一時的な成果を上げても、持続的な地域活性化は難しいでしょう。
具体的には、一時的なメディア露出にとどまらず、地域の取り組みや魅力を継続して発信すること。
さらに、メディア露出の実績を次のPR戦略へ活かすと、地域住民や外部ステークホルダーとの関係を次第に深められます。
つまり、メディアアプローチを繰り返し行うことで、長期的な地域活性化につながるのです。
PR成功後の展開も重要
PR成功後は、マーケティングやブランディング戦略の展開が不可欠です。
一時的な成功に満足しているといずれ大きな情報に淘汰されかねません。
地域の特産品や観光地のプロモーションや、新たな施策で移住促進を進めるなど、自治体広報成功にはさらなる戦略が求められます。
その際、データ分析を活用して戦略の最適化を目指しましょう。
WebサイトやSNSのアクセス解析でユーザーの行動パターンや興味を把握し、多様なターゲットに向けた効果的なPR戦略を展開します。
データ分析については「ホームページで集客できない6つの原因とは?データを正しく分析して課題を見つける方法を解説。」を参考にしてみてください。
地方PR戦略の成功のポイント
地方PR戦略の成功のポイントは、以下5つです。
- ポイント1. 地方PR戦略の目的を明確にする
- ポイント2. ステークホルダーのニーズを的確に捉える
- ポイント3. 多角的メディアアプローチで地域の魅力を全国へ
- ポイント4. 自治体広報誌の廃止防止!面白い広報活動を
- ポイント5. 広報の効果測定・改善を行う
それぞれみていきましょう。
ポイント1. 地方PR戦略の目的を明確にする
地域のPR戦略は、「何を目的にPRするのか?」を明確にしましょう。
たとえば、観光誘致、移住促進、企業誘致など、目指すべきゴールがそれぞれの自治体にあると思います。
目的が明確であれば、その後の「戦略」や「伝えたいメッセージ」が一貫するのでPR活動全体が統一感を持つようになるのです。
さらに、目標や計画を定めた後は「誰に届けたいのか?」といったターゲット像を定めましょう。地域の魅力をより効果的に伝えられます。
ポイント2. ステークホルダーのニーズを的確に捉える
地域PRでは、ステークホルダーごとのニーズに応じた情報発信が必要です。
たとえば、観光客には以下のニーズがあります。
- 観光地の魅力
- アクセス
- 宿泊・飲食
- 体験談
- インフラ環境(Wi-Fiや医療機関の情報など)
- イベント情報や体験ツアー
上記を観光客へ明確に伝えると訪問意欲が高まり、旅行へつなげられますよね。
一方、地域住民や地元企業に対しては、意見やフィードバックをもとにニーズを把握すると良いでしょう。
その際、地域の意見のみに偏らず地域外からの意見も取り入れ、多角的視点で広報活動を展開することが大切です。
ポイント3. 多角的メディアアプローチで地域の魅力を全国へ
1つのメディアに依存せず、ホームページ、WEBメディア、PR動画など、複数メディアを組み合わせて効果的に発信しましょう。
自治体がリソース不足の場合は1つのメディアに依存しがちですが、偏った広報活動では情報が特定層にしか届かず、PR効果が広がりません。
複数メディアへの発信方法がわからない、ノウハウが足りない場合は、PR会社への外注を検討しましょう。
既につながりあるメディアネットワークを活用し、スピーディかつ効果的に地域の魅力を全国へ発信できます。
ポイント4. 自治体広報誌の廃止防止!面白い広報活動を
自治体広報誌は単なる情報伝達にとどまらず、「面白い!」と感じさせるコンテンツにしましょう。広報誌廃止対策としても有効です。
たとえば、以下の内容を参考にしてください。
- 特産品を使った料理コンテスト
- 地元歴史をテーマにした体験ツアー
- イメージキャラクターによる特産品紹介
広報誌以外に広報活動で効果的なのが、地域PR動画。インパクトあるデザインやアニメーションで視覚的に訴え、記憶に残りやすくなります。
このように、広報活動にユーモラスな要素を加えることでより親しみやすくなるでしょう。
ポイント5. 広報の効果測定・改善を行う
広報活動後は「来客数」や「目標達成度」などの効果測定をしましょう。
まず、目標設定時に数値で具体的な指標を定めておきます。たとえば、メディア露出数、WEBサイト訪問者数、SNSのエンゲージメント率などです。
評価時には、設定指標と実際のデータを比較して目標達成度を確認。すると改善点が見え、必要な施策や新しいアプローチに活かせます。
効果測定と改善は継続が大切です。より質の高いPR戦略を展開できるでしょう。
PR戦略による地方自治体の広報成功例
地方PR戦略によって実際に効果があった、3つの成功例をご紹介します。
- 成功事例1. 【WEBメディア露出】明確な役割分担で観光PRへ
- 成功事例2. 【サテライトオフィス誘致】メディア公開で認知向上
- 成功事例3. 【シティプロモーション】PR動画で地域の魅力が広まる
成功事例1. 【WEBメディア露出】明確な役割分担で観光PRへ
ある地方自治体は、観光PRのためにWEBメディアと連携し、定期的に観光地の魅力を発信。
複数の取材・メディア露出が実現し、全国的に認知度を向上させました。
具体的には、Instagramの写真撮影、PR企画の提案、PR戦略の総合管理など各得意分野で明確に役割分担し、専門ノウハウを発揮。
さらに、印象強いキャッチフレーズを載せることで地域の「親しみやすさ」を紹介したのです。
効果的なメディアアプローチとなり、観光PRに成功しました。
成功事例2. 【サテライトオフィス誘致】メディア公開で認知向上
ある自治体は、地域の魅力を継続的に発信し、サテライトオフィス誘致に成功しました。
具体的には、美しい自然に充実したインフラ環境、古民家を活用した地域ならではの独自性をWEBサイトや動画でPR。
継続する中で、地域課題解決への取組みが注目され各種メディアに取り上げられました。
現在もテレワークの普及やコワーキングスペースの需要増加など、世のトレンドに対応するべく多様な戦略を展開しています。
成功事例3. 【シティプロモーション】PR動画で地域の魅力が広まる
ある市では、PR動画で地域の自然や文化を伝え、SNSで拡散された結果、全国的に注目を集めました。
地域の「あるある」をユニークに語り、移住希望者以外にも地域住民も楽しめる遊び心が加わった動画は、「必ず二度見する動画」として話題に。
また、映像美にこだわり、自然の美しさを最大限に表現。
ふるさと納税や特産品の売上向上など経済効果につながり、地元住民の関心もよりいっそう高まりました。
自治体における効果的な広報戦略(PR戦略)とは
自治体において効果的な広報戦略(PR戦略)を展開するには、以下の3つの軸を大切にしましょう。
- 地域住民に必要な情報を効果的に伝える
- 移住や企業誘致の促進を図る
- PR外注で時間とコストを節約する
順に解説します。
地域住民に必要な情報を効果的に伝える
地方自治体は、住民に対して情報を効果的に伝えなければなりません。
たとえば、災害発生時の緊急情報や避難指示が迅速かつ正確に伝達されれば、住民は適切な行動を取り被害を最小限に抑えることができます。
また、地域のイベント情報発信により、参加者が増えて連帯感が高まり、地域活性化に貢献できるでしょう。
このように、正しい広報戦略は地域住民の生活の質を向上させ、信頼関係を築けるのです。
移住や企業誘致の促進を図る
地域の人口増加や経済活性化には、移住や企業誘致の促進が効果的。
医療、福祉、教育の充実度をアピールしたり、「お試し移住」で実際の生活を体験できる環境を整備したりすると、移住増加に寄与するでしょう。
企業誘致では、低コストの土地と豊富な人材を強調するなどして企業の拠点を誘致すると、多くの雇用を生み出せます。
つまり「地域の魅力」や「ビジネス環境の良さ」を盛り込みながら将来を見据えた施策を展開すると、効果的な広報活動となるでしょう。
PR外注で時間とコストを節約する
自治体のPR戦略にはノウハウや時間、コストが必要ですが、外部のPR専門会社に依頼することで効率化が図れます。
たとえば『PR戦略室』の地域活性化PRプランでは、以下業務(一部抜粋)が業界水準の半額、月額20万円〜利用可能です。
- PR戦略の策定
- プレスリリース作成
- メディアへのアプローチ
- SNS運用 など
メディア関係者との強固なコネクション、そして効果的に広報を展開するためのノウハウを活用できます。
PR外注は、限られた予算で大きな効果を実現できる方法です。
詳しい費用例や、PR会社へ委託するメリットデメリットについては、「PR代行に広報を業務委託する金額相場は?依頼するメリット・デメリットや委託先を選ぶポイントも解説」をご一読ください。
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